賃金・賞与・残業代

賃金の減額の可否

ここ数年間経営の悪化が著しく、このままでは全従業員に対して賃金を支払っていけないという状態にあります。
そこで、就業規則の賃金規程を改定し、賃金の引下げを行うことによって対処したいと考えているのですが、このようなことは可能でしょうか。

就業規則の賃金規程を改定し、賃金の引下げを行うことは、一定の場合に可能です。

詳しい解説

まず、労働契約は、労働者及び使用者が合意に基づいて締結し、または変更すべきものです。したがって、労働条件の変更は、労働者と使用者の合意により行うべきものであり、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働条件を変更することはできないのが原則です。

もっとも、その例外として、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとされます。
就業規則の変更が合理的なものであるか否かは、①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合等との交渉状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして判断されます。
とくに重視されるのが、①と②とのバランスがとれているかという点ですので、経営悪化の程度と、賃金の引下げ額などとのバランスに十分注意する必要があります(最低賃金を下回らないようにするという配慮も当然必要です)。こうした事情に照らして就業規則の変更が合理的なものであるならば、変更後の就業規則を労働者に周知させることを前提に、就業規則の賃金規程を改定することにより、賃金の引下げを行うことができることになります。

就業規則の変更が合理的なものであるか否かについては、個別具体的な事情を考慮して判断する必要がありますので、より確実な見通しを立てるためには、弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。